近視や乱視など屈折異常も
治療するワンランク上の白内障手術
「屈折矯正白内障手術」とは
vol.2 目覚ましく進歩した白内障手術
白内障手術は高齢者が受けるもの?
白内障手術は高齢者が受けるものと思い込んでいる人もいるかと思います。
しかし、近年では、年がいって「見えなくなったら受ける白内障手術」から、年齢には関係なく、「生活に不便を感じる近視や老眼を治すという意味合いが濃い白内障手術」へと変貌を遂げつつあるのです。
白内障手術の技術が近年急速に進歩して、より安全でスピーディーに行われるようになってきたのと同時に、眼内レンズの性能も飛躍的に向上しています。現在では、白内障手術は日本全国で年間150万件以上行われているとされています。
手術の安全性が高まった背景には、超音波手術の普及が大きく影響しています。2000年頃から超音波手術が普及してきて、2~3㎜程度の小さな切開部から、超音波で白濁した水晶体を粉砕し、吸引するという術式が可能になりました。小さな切開のため、糸で縫合しなくても傷が閉じる自己閉鎖創という切開方法が普及し、術後乱視が非常に小さくなり、手術後の屈折度数の予測が正確になったのです。
さらに最近では、日本ではまだ普及が100台程度にとどまっているものの、フェムトセカンドレーザーというレーザー白内障手術装置が開発され、手術の精度が非常に高まっています。
また、レンズのほうも、2010年頃から多焦点眼内レンズが登場し、切開の小さな超音波白内障手術と組み合わされて、さらに患者のきめ細かい希望に応じられるようになってきました。従来の単焦点眼内レンズでは、メガネなしで見たい距離は遠くか近くの一方しか選べず、それ以外の距離はメガネなどを使って見る必要があります。
これに対して、1つのレンズに2つ以上の距離にピントを合わせられる機能を備え、水晶体の調節機能を補完できるのが多焦点眼内レンズです。霧視などの白内障の症状がある程度、進んで、調節力が落ちて老眼が気になるという人であれば、その両方を同時に解決し、さらに近視などの屈折異常の悩みにも同時に対応できますので、優れた眼内レンズとして注目されています。
年齢の幅が広がってきた手術対象者
白内障の症状は、早い人では40代から、80代からはほぼ100%の人に見られるといわれています。
現在、白内障手術を受けている年代のピークは70代から80代ですが、50代から60代などの比較的若い世代でも、白内障手術を積極的に受ける人が増えつつあります。
医療技術の著しい進歩に加えて、長寿命化が進んで人生100年時代となり、人生の半分である50歳以降を「よく見えない眼で過ごしたくない」「どうせ手術をするのなら、早めに受けて快適に見える眼を手に入れたい」と、前向きに考える人が増えているのも大きな理由です。また、同じ70歳で受ける場合でも、「スポーツをしていて、このままでは十分楽しめないから」「車の免許更新に間に合わせたいから」「孫とラインのやりとりをしたいから」といった、より行動的な、アクティブな理由で白内障手術を受ける方が増えているのです。
また、白内障が進んだままで放置していると、眼底検査をやりにくくなり、他の病気が起こっても発見しづらくなることです。進行すると失明に至る「緑内障」、「糖尿病性網膜症」、「加齢黄斑変性」、「眼底出血」など、多くの重大な病気を見つけにくくしてしまいます。こうしたリスクもあることを知っておいてほしいと思います。
いずれにしても、手術のタイミングも含めて、眼科医の意見をよく聞きながら検討していくことが大切です。
【岡本院長の著書のご紹介】
岡本茂樹院長執筆
「リフラクティブ白内障手術」が
3月25日に幻冬舎から発売されました。
発行:幻冬舎
定価:1,600円+税
市内主要書店で販売中
明屋書店各店 ジュンク堂書店松山三越店 紀伊の国屋書店 TSUTAYAなどで
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